ぴくぴくと動く白い純白の耳とゆらゆら動くこちらも純白の細く長いふわふわと
したしっぽをもった“かなめ”という猫がいた

部屋の真ん中で身をかがめ、ある1点を見つめては頭を左右に振り顔をそらした
り気になるのかまたそのある1点を凝視している

ふりふりとしっぽを揺らし

たしたしと床を叩くようにしっぽがしなる

怒られるかな

でも気になる

そーすけがいつも触ってるアレ

どきどき…わくわく

ちょっと位なら…
いいよね

 


『ねこかん番外編』
〜しつけ〜

 


「にゃ!!やっ」

ぺしっ…ぱしっ

「悪い事をしたらきちんと叱るのが飼い主の責務だ…」

目をつむり眉間にしわを寄せ汗を流しながら難しい顔をした宗介

ぱしっ…ぱちんっ

「やだっ!そーす…けっ!あっ!」

ぺしっ…




宗介は常日頃かなめに口が酸っぱくなるほど言っている事がある

暇さえあれば手入れをしている銃火器類

もし万が一指などが引っかかり発砲するといけないからと危険な物だから触って
はいけないと言いおいていた

一応安全装置をつけていて万が一の事がおきないようにしているが、完全なる保
証が出来るわけでもなく気が気でない

宗介は自宅の部屋の中…ベランダの前で少しだけ戸を開けオイルや火薬の臭いの
する愛用の銃を分解して手入れをしていた

臭いに敏感なかなめはもちろん離れた所で床に座り込み外を向いてうつらうつら
としている

近頃銃を手入れする時はかなめが嫌がる為ベランダの戸を少し開ける等して換気
をするようにしているが、苦手な臭いがするからかそれでも離れてしまう


ピリリリッ


テーブルに置いていたピッチから突然機械音が鳴りだした

ビクッと体が宙に浮きそうな位びっくりしたかなめはうつらうつらしていた所を
邪魔されたからか耳をぺたりと後ろに倒し尾をもはっと膨らませ頭に“はてな”
を沢山出しながら身構えた

おかしかったのか宗介はふっと微笑むとすくっと立ち上がり未だに鳴り続いてい
るピッチのあるテーブルへと足を向けた

ピリリリッピッ…

「…相良だ」

『お〜宗介か、ちっと今いいか』

「あぁ、…しばし待て」

ようやく落ち着いたのか髪を撫で手入れをしているかなめにあちらには近づくな
と先ほどまで分解していた銃に指を向け注意をした

あらかた磨いて手入れが9割方終わっていた愛用の銃は原型が分かる程組み立て
も進んでいた

コクリと頷いたかなめは再び髪を撫で始める


「…待たせた」

ピッチに話かけながら部屋の奥の方に行く宗介

その背中をちらりと見ながらかなめは髪を撫でるのをやめた

『かなめちゃんは元気してるか?』

「あぁ、先ほどまで大人しく俺が銃を手入れしている所を見ていた」

話も終盤に差し掛かった所でかなめの話になった

『お前かなめちゃんの話になると饒舌だな…』

「そうか?」

『それにしても大人しくなんていい子だなぁかなめちゃんは…しつけなんて必要
ねぇだろ』

「そうだな…」

ふと背後からゴソゴソカタカタと音がしているのが気になりかなめが退屈し何か
しているのだろうとそろそろ話を終わらせようと振り向いた

部屋の奥の隅で話していた宗介

ベランダの前には9割方終わっていたはずの宗介愛用の銃

その前に座り込みちょいちょいと手を出しているかなめ

『…おい、どーした宗介?』

急に話が途切れた事を不思議に思った電話越しの相手が声を曇らせて尋ねてきた

先ほどまで話し込んでいた宗介が静かになった事に気づいたのかかなめはゆっく
りと宗介の方へ振り返る

ピッチを片手に佇む宗介

銃の部品を片手に呆然とするかなめ

「……クルツ…猫にしつけとはどうすればいい?」

先に口を開いたのは宗介だった


「かなめ」

「…」

「以前から約束をしていたのになぜ守らなかった?」

「…ごめんにゃさい」

「謝るだけでは分からない」

「…」

「あれほど危ないから触るなと言っていたはずだ」

「だって…」

「だって…なんだ?」

おしりぺんぺんをされたかなめは床にぺたりと座り込みおしりをさすりながら俯
きかげんに涙目で宗介に言った

実際おしりぺんぺんとは言っても軽くぺしぺし叩いただけの行動で真っ赤に腫れ
上がる程宗介は強くはお仕置きはしなかったのだが、かなめはそれでも気持ち的
にショックだったのかずっとおしりをさすっている

「いつもあたしじゃにゃくてアレばっかり触ってるから…」

かなめに向き合うようにしてしゃがんでいる宗介はかなめの話を黙って聞いてい

「約束やぶったのはごめんにゃさい…でもかまって欲しかったんだもん」

だから壊せばいいと思って…ふぇっと変な声を出して涙をぽろっと零したかなめ
の頭を宗介はするりと撫でた

「そうか…ならば俺がアレを手入れしている時隣に居ればいい、離れていたので
はかまってあげられない」

ぱっと顔をあげたかなめはふにゃと笑いありがとっと頭を撫でていた宗介の手に
頬ずりをした

 

 

「でもあのにおい嫌いにゃの」

この言葉に宗介はどうすればかなめが寄り付いてくれるのかとこれから数日必死
に考えることになる


おわり


優晴の部屋/優晴様より相互リンクの記念に頂きました。
にゃんこカナちゃん、かわゆす!!萌え!!(笑
喋り方や、仕草がしぬほど可愛いです。いいなー軍曹さんいいなー!
本とは構って欲しいなんて、叱られるまで言えないなんて、いじらしすぎる可愛すぎる!
ソースケも実は構ってあげたかった、ていうところが、なんともほのぼのしてて優しい気持ちになりました。
どうも有難うございました!

ねこちろりさんシリーズはサイト様にてもっと拝見出来ます。